2018年に精神障害者の雇用義務化



精神障害者の就労、職場の工夫で定着 3年後に雇用義務化
(2015.2.15 産経ニュース)

 平成30年から、統合失調症など精神疾患がある障害者の雇用が義務づけられるのを前に、大手企業を中心に精神障害者の就職件数が増加している。職場の意識改革や仕事内容の工夫でうまく就労環境が整う事例も多いが、受け入れに不安を抱える中小企業もある。(障害者)当事者は「何ができて何ができないかを理解してもらえれば、安心して働ける」と話している。

障害者も戦力

 「これをこっちのように処理して」。大阪市西淀川区にあるニッセイ・ニュークリエーションの本社。入社3年目の男子社員(33)が、パソコンを操作する同僚女性に指示を出し、親会社の日本生命保険の顧客に発送する契約内容通知書などをそろえていく。

 数年前に特定不能広汎性発達障害と診断され、前の勤務先を退職した。障害者福祉手帳を取得して大阪市が運営する職業訓練施設に通い、この会社に入った。「パニックになって癖が出ても、同僚はみな自分の障害を知っているので理解してもらえる」と話す。

 ニッセイ社は、日本生命保険が設置した「特例子会社」だ。一般事務を担う部署では、さまざまな障害をもった人165人が働く。障害によって業務を区別せず、さまざまな種類の障害を抱える人がチームを組む。

 男性は「落ち着いて行動するのは難しいが、自分が人をまとめていく立場になったときのために成長していきたい」と前向きだ。

進む相互理解

 ニッセイ社が初めて精神障害者を雇用したのは20年度。現在は(雇用している全ての)障害者165人のうち(精神障害者は)25人を占める。これまで退職者はいないという。山田忠宣常務は「面接で障害の内容は聞くが、配属する職場に病名などは伝えない。だから本人が一人一人と接して相互理解を深める努力が必要」と説く。

 12年前に統合失調症を発症した女性社員(38)を部下に持つ男性上司は自らも車いすを利用する。女性について「表情を見ていて、精神状態がだんだんと分かってきた。その時々に最適な助言を考えられるようになった」と話す。

 大阪労働局によると、大阪府内でハローワークを通じた精神障害者の就職件数は、17年度の285件から25年度の1433件まで、毎年増加している。25年度は、初めて知的障害者(1246件)を上回った。

 現在は7060社で計約4万人の障害者が働いているが、精神障害者を雇用しているのは912社にとどまる。大阪労働局の担当者は「見た目で障害が分からないので、受け入れに二の足を踏む経営者が多い」と指摘する。

大切なのは安心感

 シャープの特例子会社、シャープ特選工業(大阪市阿倍野区)は、受け入れる職場の同僚を対象に講習を行っている。

 7月に入社した男性(39)は、前の職場の運送会社で体調を崩し、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に起因する鬱病と診断された。現在は「上司、先輩が自分の障害を知っていて、向こうの方から歩み寄ってくれる」と安心感を口にする。

 男性は、これから雇用を検討する企業に「精神や発達障害の人には自分から発信することが苦手な人が多い。何でも話しやすい雰囲気を作ってほしい」と呼びかける。