正社員になれずに苦しむ人を希望就職先へ


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正社員になれずに苦しんでいる人の就職相談に無料で応じ、多くの人を希望就職先へ導いている方の話です。素晴らしい活動と思いましたのでそのまま掲載します。(2007年7月21日)

経験生かし、正社員になれない若者支援─枚方の67歳、就活指南へNPO

 景気回復で新卒の就職や一定のキャリアを持つ人の再就職の環境が改善される一方、アルバイトやパートなど非正規雇用者の中には働いても報われない「ワーキングプア」や「フリーター」にとどまる人も多い。そんな人たちの就職を支援しようと特定非営利活動法人(NPO法人)を設立したのが大阪府枚方市在住の前野頼彦さん(67)。1人ひとりに合った就職活動の仕方をアドバイスし、希望する就職先へと導いている。

 「じゃあ、本番の面接だと思って言ってみようか」「はい、えーと、私は部下を育成することが得意です。と申しますのは……」。枚方市のインキュベーション施設の一角に事務所を構えるNPO法人「フレッシュステップ関西」。就職アドバイスを求めて1日5−6人の就職志願者が訪れる。

 公共職業安定所(ハローワーク)や行政が運営する「ジョブカフェ」(若者就職支援センター)では、職員の人数が限られ、1人に多くの時間を割くことは難しい。前野さんは1人に約1時間かけ、これまでの職務経験や性格、やりたい仕事などを聞き出し、それぞれに合った職務経歴書の書き方や面接の受け答え方を指南。民間企業の正社員に内定できるよう指導する。相談は無料だ。

 「みんな今まで貴重な経験をしてきているのに、それをうまく表現する方法を知らないだけ。表現の手助けをするのが私の仕事」。通常は1週間に1度程度通うと2カ月ほどで就職先が決まるという。開設以来1年半でおよそ150人が新たな就職先を見つけた。

 アドバイスには決して平たんとはいえない自らの経歴も生かしている。前野さんは一橋大卒業後、18年間の商社勤務を経て従業員20人ほどの機械関連会社を興した。しかし、バブル後の不況のあおりを受けて倒産。多額の借金を抱えながら居酒屋の店員やガードマン、土木作業員など様々なアルバイトをこなした。

 そんなとき、新聞で当時はまだ珍しかった再就職支援会社の求人広告を目にした。「どんな仕事か分からないが、とにかくやってみよう」と決意し56歳で再就職。キャリアカウンセラーとして様々な人の就業相談に応じた。主に大企業が希望退職などでリストラした人が対象。100万円近い費用を企業から受け取る見返りに彼らを受け入れる。毎年全国で1万人前後が支援会社を通じて再就職しているといわれ、前野さんを通じて就職に成功した人も数百人を数えるという。

 しかし、完全失業者が300万人近くいることを考えると、手厚い支援を受けられるのは失業者のうちのほんのわずか。「正社員としてのキャリアがない人こそ支援が必要なのでは」と次第に考えるようになり、彼らを支援する組織をつくることを決意した。

 資金がなかったため、株式会社ではなく少額で設立できるNPO法人にすることに決めた。大学時代に所属した剣道部の先輩で、被介護者への弁当配達など社会活動をする村上周郎さん(72)に理事長になってもらい、資金繰りや運営方法についてアドバイスをもらった。再就職支援会社の役員だった平山紘一郎さん(68)にはキャリアカウンセラーになってもらい、2005年10月にフレッシュステップ関西の設立にこぎ着けた。

 「失業者には流動的な層、滞留している層の2つがある」と前野さん。流動的な層は、資格や豊富な職務経験により自力で再就職先を探し出すことが比較的容易だ。
 
 しかし、アルバイトやパートを繰り返す、滞留している層は、正社員としての職務経験が積めず、低所得のため資格を取得する余裕もなく、いつまでも非正規社員にとどまるケースが多い。最近では結婚・出産後に再就職を目指す主婦の相談も。そういった人の相談に応じるのが役目と自任する。

 高校卒業後10年間、約20のアルバイト先を転々としてきた人がいた。正社員として働いた経験がないことから、就職を半ばあきらめていたが、前野さんはその人のアルバイト経験から「住環境」に関するキャリアが多いことに着目。それに的を絞った職務経歴書を相談者とともに作成した。すると第1希望だった不動産会社の内定を見事獲得できた。

 正社員になれない人は何らかの悩みを抱え、気分も落ち込みがち。前野さんは単に就職に関するアドバイスをするだけでなく、自らの経験を踏まえて話をするよう心掛ける。「自分も会社の倒産など様々な失敗を繰り返してきた。だから相談者の立場に立ったアドバイスができるのかもしれない」

 事務所の家賃など事業の運営費用は枚方市や北大阪商工会議所などが開く就職支援セミナーでの講師料のほか、友人らによる寄付金などで賄い、相談無料を維持する。「民間企業や行政ができないビジネスモデル」と前野さんは胸を張る。

 知人らに呼び掛け、同様の取り組みを大阪府内各地で実現させる計画が進行中だ。「夢は全国各地に我々のような組織をつくること。まずは実績を作り、この活動をみんなに知ってもらいたい」と意気込んでいる。

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